雪がとけて春になり、夏から秋に至るまでの間、痒みに悩まされてる犬たちが非常に多く存在します。

この時期は狂犬病予防ワクチンやフィラリア予防、マダニ予防などの予防関連で来院される方が多く、年に1回来院される方もたくさんいます。

久しぶりに診察してみるとアレルギーと思われる皮膚炎を起こしており、ワクチンが打てない状況であったりすることもしばしば。

痒みの原因が分かれば、極力それらを避けることが痒みの対策になるのですが、現実問題としてはなかなかどうして難しかったりします。

特に外へ頻繁に散歩にいく犬たちとって、この時期は草むらへ入り込むのも楽しみの1つですので、100%避けることが困難。

一例として、その草が原因で散歩後に強い痒み(アレルギー性物資に接触した結果)が生じて、皮膚を掻き壊してしまうほどの強い掻爬行動(掻いたり擦ったり舐めたりする行動)を起こしてしまう犬がこの時期に入るとたくさんでてきます。

掻爬行動により皮膚のバリア機能が低下・破壊され、掻爬による刺激から炎症細胞が活性化し、痒みのシグナルが増強され、さらに皮膚を掻爬してしまいます。その結果、皮膚のコンディションが悪化し、さらに痒みが生じて皮膚を傷つけてしまいます。

所謂、「痒みのサイクル(スパイラル)」に陥ってしまうのが、皮膚炎がなかなか治らない要因の1つです。

いままでは、その痒みのサイクルを止める手段として、ステロイド(副腎皮質ホルモン製剤)やシクロスポリン(免疫抑制剤)等を使用していました。

今夏、それらの薬剤とは全く異なる作用機序で痒みを止める新薬が販売されました。

商品名は「アポキル」です。

この薬が出たことにより、ステロイドを主体として痒みを抑えていた犬たちの治療が劇的に代わることになります。

販売されて1週間ほど経ちますが、すでにその効果を実感しております。

詳細は長くなってしまうので、後日、解説いたします。

次回は、従来行っていた治療の利点・問題点と新薬の比較について解説します。