この季節は、地面をたくさんの草木が生い茂って、その中にはたくさんの虫たちが生活しています。

その中には、人や犬にとっても危険な虫がいる場合がありますので注意が必要です。

今回は、歩道の緑地帯を散歩中に蜂に刺されてしまったワンちゃんのお話です。

夏の日中は気温も高くなり、アスファルトも強い日差しにより熱を帯びています。その為、日中の散歩は犬にとっては熱中症やパッドの火傷といったリスクが高くなります。

今回、蜂に刺されてしまったワンちゃんは、そんな暑い日中を避け夕暮れに散歩している時に刺されてしまいました。暗闇でよく分からなかったらしいのですが、どうやら蜂の巣を踏んでしまったらしく、その時に顔を足を刺されてしまったようです。

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左の頬を刺されてしまって、その周辺が腫れてしまっています。反対側と比べるとは明らかです。

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左の写真は、蜂に刺されてしまった後肢です。右側の写真は刺されていない方の後肢です。どこが腫れているかわかりますか?左の写真を良く見ると黒い点がみえるのですが、実はそこに毒針が刺さっています。

人における蜂刺症の統計データによると、全体の約9割が7~9月に集中して起きているとの事です。この時期はスズメバチ、アシナガバチ類では巣のサイズが最大規模に達しており、働きバチの巣を守る防衛行動も高まっている為に、刺されることが多くなるとのことです。

ハチ類の毒成分は主に酵素類(ホスホリパーゼ、ヒアルロニダーゼ、プロテアーゼなど)、ペプチド類(Melittin 、キニンなど)、低分子類(ヒスタミン、ドーパミンなど)の3つで構成されています。

これらの成分は結合組織の破壊、血圧降下、細胞膜透過性の亢進、疼痛、平滑筋収縮などを起こすことが知られており、蜂刺されによる毒液注入によってこれらの物質が総合的に働いて激しい様々な症状が出現することになります。顔や肢の腫れはアレルギーにより浮腫が生じた結果、起きた症状の1つです。最悪の場合は、アナフィラキシーショックを起こして命を落とす危険性もあります。

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治療としては刺さっている毒針を抜いて、患部を冷やし、ステロイドや抗ヒスタミンの投薬を行います。

アナフィラキシーショックを起こしている場合は、上記の治療薬の他に、強心剤や昇圧剤の投与、または酸素吸入などを行う必要があります。

因みに、民間療法としてアンモニアをかけるというのがありましたが、全く効果がありませんのでやらないでください。また尿をかけるなんて事も私が子供の頃には言われておりましたが、尿に含まれているのはアンモニアではなく尿素ですので、これまた全く効果がありません。

夏のこの時期、マダニ以外にも蜂や毛虫などの虫刺されにご注意ください!!

もし蜂などの虫に刺されてしまった場合は様子をみずに、まずは病院までお問い合わせください。