GW明けてから、夜の冷え込みもだいぶ緩和しましたが、相変わらず天気が不安定ですね。雨は気分も憂鬱になってしまいます。花見もできません。
今回は、以前にも狂犬病予防注射の必要性について触れていますが、時期が時期なので改めてクローズアップさせていただきたいと思います。
狂犬病とは、狂犬病ウイルス(rabies virus:ラブドウイルス科リッサウイルス属)を病原体とするウイルス性の人獣共通感染症(ズーノーシス)であり、ヒトを含めたすべての哺乳動物が感染します。因みに、人ではヒトに感染した場合、水などを恐れるようになる特徴的な症状があるため恐水病または恐水症(hydrophobia)とも呼ばれています。
感染経路は、主に狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれる事により、傷口から唾液と共にウイルスが侵入して感染を起こします。ウイルスは唾液に含まれていますので、粘膜などを舐められた場合も感染するリスクが高いと云えます。
繰り返しになりますが、狂犬病ウイルスはヒトを含む全ての哺乳類に感染します。人への感染の殆どは犬が原因ですが、犬以外の野生動物も実は感染源となっています(アライグマ、蝙蝠など)。
発症後の死亡率はほぼ100%で、確立した治療法はありません。
現在、全世界において狂犬病清浄地域(日本の厚生労働省大臣が指定している)と認定されている国は、英国 (グレート・ブリテン及び北アイルランドに限る)、アイルランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、台湾、ハワイ、グァム、フィジー諸島、オーストラリア、ニュージーランドと非常に少ないのです。
つまり周りから海などで隔絶された島国は、清浄化させることが可能なのですが、地続きである大陸においては清浄化させることはできないという事です。これは、隣国(韓国、中国、ロシアなど)には狂犬病がいるという事です。
簡潔に要点のみ述べましたが、狂犬病は非常に怖いウイルス性の病気であり、犬を含めた哺乳動物全般にかかわる問題ということです。
我々獣医師が一生懸命、狂犬病予防注射の接種をお願いしている理由が少しはお分かりいただけましたでしょうか?
ただ、実際問題として、飼主様に「うちの子は打ちません」といわれてしまうと、それ以上は無理強いできないのが現実だったりします。推奨する義務はあっても、強制的に接種をさせる権限はありませんので・・・。
今まで狂犬病は打っていなかったけど、詳細を知ることで打った方がよいかなぁっと少しでも思っていただけたら幸いです。
狂犬病予防注射は、すでに登録されてるワンちゃんであれば4/1~6/31までに打つようにと期間が定められておりますが、それ以外の期間であっても狂犬病予防注射の接種は可能です。
まだ登録もしていないという方は、初回のみ新規登録料がかかります。札幌市にお住まいの場合は、登録料が3200円、予防注射代が2490円、予防注射済票発行料が700円です。
市外の方の場合は、こちらでは済票が発行できませんので、予防注射代2490円のみとなります。予防接種証明書を発行いたしますので、それを管轄の行政へ持っていき手続きを行ってください。
因みに、狂犬病予防注射と混合ワクチンの同時接種はできません。
もし、混合ワクチンを先に接種した場合は、4週間以上経ってからであれば狂犬病予防注射の接種が可能となります。また、狂犬病予防注射を先に接種した場合は、1週間以上経ってからであれば接種が可能です。
狂犬病予防注射、まだ打たれていない方はお早めに。