今日の札幌は朝から雨が降り続いており、昨日と比べてとても肌寒いです。
5月に入ってからは暖かかったり寒かったりと気温の寒暖差が激しくちょっと体調的にしんどい感じがします。
さて、今回もこの季節に恒例ではありますが、マダニについてです。
昨年はG.W過ぎ当たりからちらほらマダニに刺されたとの事で来院されるワンちゃんが増えてきていましたが、今年はG.W中から早速マダニが発生いたしました。
マダニの詳細については昨年の「マダニにご注意」をご覧ください。
マダニは主に草むらに潜んでいて、じっと獲物が来るのをいまかいまかと待ち構えています。ここ厚別北近辺では野津幌川・小野津幌川の土手周辺か森林公園周辺がマダニ生息地になっています。
厚別北はキツネも時折徘徊しているようなので、キツネに寄生していたマダニが移動中に公園や草むらに落ちて他の動物へ再び寄生するという事が考えられますので、この時期は草むらには要注意です。
マダニ予防の方法としては、背中に垂らすスポットタイプと服用させる錠剤タイプの2種類があります。
一般的にホームセンターなどで販売されているマダニ予防剤の殆どは、ハーブが主成分の強い香で虫を近づけさせない忌避剤タイプのものですので、寄せ付けないという意味では効果はあるのですが、成分によって作用がばらばらで効果も弱く、シャンプーすると効力がすぐになくなってしまいます。また、マダニが身体についてしまった場合の予防効果はほぼ皆無です。ただ、ヒバ木から抽出されたヒバ油は忌避剤として優れているようなので、今度、アロマにして院内で噂の効能が本当なのか試したいと思います。夏は虫が院内に入ってきて大変なのです。
某CMの「虫は玄関から入ってくるのねー♪」を実感しております。
動物病院などで販売されているタイプの物は殺虫剤ですので、マダニが身体に付着してから刺されるまでの間に薬効成分が効いてマダニが死んでしまいます。寄せ付けないタイプのものではなく、刺される前に殺すタイプです。いかにも後者の方が薬的にきつそうなイメージですね。まぁ、主成分をみると農薬ですので困ったものです。それでも様々な毒性試験や臨床試験をしっかりとクリアして薬剤として認可されている薬ですので、私は安心して処方しています。獣医師になって10年過ぎてますが、いままで有害事象に遭遇した事はありません。
時折、基材となっているアルコール成分に対して炎症を起こしてしまう子もいますので、滴下後はしっかりとよく観察してあげてください。刺されて病気(伝染病や皮膚炎)になるより、刺されない方がやはり良いです。
刺されてしまった場合、病院で取ることができますが、自宅で無理やり取るのだけは止めてください。マダニは強固な顎でしっかりと皮膚に刺さっており、引っ張っただけでは取れません(刺されて間もない場合は取れることもあります)。取れても頭と顎を残して胴体だけがぶちっと裂けて取れるだけです。
その後は、激しい皮膚炎を起こして刺された部位が潰瘍を起こし、顎が残ったままの状態だとそのまま瘢痕化し、その部位だけ被毛が生えてこなくなってしまいます。それを防止するには人と同じく皮膚を切開し、顎を除去して縫合する必要があります。
刺される前には忌避剤タイプや殺虫剤タイプのマダニ予防薬で予防を、刺された後は無理に取らずに病院への来院を強くお勧めいたします。
因みに、取り方はコツさえつかめばご自宅でも可能です。方法を知りたい方は直接お尋ね下さい。