せっかく苦労して書き終えたブログの原稿がデータエラーの為にセーブされず、一からまた書き直すことになって落胆してしまった今日この頃です。

いやはや、これがまた大変な作業でして、一応、論文や出どころのしっかりした情報から必要なデータを抜粋して紹介していますのでこれを一からやり直すと数日かかってしまうのです(泣)。

今回は前回の玉ねぎ中毒と同様に、日常生活の中で好発するチョコレート中毒についてです。

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玉ねぎやチョコレートは犬には与えてはいけないという事はよく耳にする言葉だと思いますが、なぜ食べてはいけないのか、食べたらどういう症状がでるのかといった詳細までは知らない方が多いと思います。

いまではインターネットですぐに調べることができるのであえて説明する必要はないと思いますが、とりあえずチョコレート中毒に関する情報をまとめてみました。

チョコレート中毒とは、チョコレートの原材料であるカカオの成分である「テオブロミン」という物質が原因で起こる中毒症状のことです。

テオブロミンとは、カカオに含まれるアルカロイド(窒素原子を含み、塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称)の一種で、自然界においてはほぼカカオにのみ存在しています。この成分は人では薬として、中枢神経刺激薬(興奮作用)、血管拡張・利尿剤等に使われています。

人ではチョコレートに含有されている程度のテオブロミン量では無害ですが、犬ではこのテオブロミンの代謝が遅いため、中毒症状を起こしてしまいます。

因みに、このテオブロミンはカカオの成分ですのでカカオの含有量が多いものを食べてしまうと、例え少量であっても重篤な症状を起こします。日本チョコレート・ココア協会によると、カカオの含有量が多いチョコレートとは、糖分や乳製品分が少なく苦味の多いチョコレートとのことです。つまり、ビター(ダーク)チョコレートではカカオ含有量が多く、逆にホワイトチョコレートはカカオの含有量は少ないということです。

主症状:興奮、痙攣や発作などの神経症状、嘔吐や下痢などの消化器症状不整脈心拍数増加口渇など

では、どの位の量のチョコレートを食べてしまったらどのような症状がでるのでしょうか?

それは、テオブロミンを100~150 mg/kgを摂取すると中毒症状がでます。致死量は250~500mgとも云われています。摂取したチョコレートのグラム数も大切ですが、実際はチョコレートに含まれるカカオ含有量が重要になります。そして、その中のテオブロミン量がもっとも大切になります。

厚生労働省 独立行政法人 国民生活センターが発表した「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」から必要な情報を取り出してまとめてみました。参考にしてみてください。

2007年10月時点での各メーカーのチョコレート製品名とカカオ含有量です。

●明治製菓(株)「チョコレート効果 板カカオ99%

内容量45g、カカオ成分99%です。チョコレート100gあたりテオブロミン1100mg、カフェイン120mgが含まれています。つまり、1枚当たり495mgのテオブロミンが含まれている計算です。

●明治製菓(株)「明治ミルクチョコレート

内容量70g、カカオ成分36%です。チョコレート100gあたりテオブロミン250mg、カフェイン25mgが含まれています。つまり、1枚あたり175mgのテオブロミンが含まれています。

●森永製菓(株)「カレ・ド・ショコラ[カカオ70%]」

内容量(24枚)117g、カカオ成分70%です。100gあたりテオブロミン610mg、カフェイン110gが含まれています。つまり、1枚あたり約30mgのテオブロミンが含まれております。

●森永製菓(株)「森永ミルクチョコレート」は

内容量65g、カカオ成分41%です。チョコレート100gあたりテオブロミン270mg、カフェイン36mgが含まれています。つまり、1枚あたり約175mgのテオブロミンが含まれています。

●(株)ロッテ「ロッテガーナミルク」は

内容量70g、カカオ成分33%です。チョコレート100gあたりテオブロミン220mg、カフェイン28mgが含まれています、つまり、1枚当たり154mgのテオブロミンが含まれています。

上記に記載していない一般的なチョコレートには通常カカオは30~40%を含んでいます。

以上のように高カカオをうたっているチョコレートの場合は、テオブロミン量が多い為、チワワなどの超小型犬が万が一にも丸ごと摂取してしまった場合は即致死量になってしまいます。

因みに、チョコレートだけでなくココアにもカカオ成分が非常に多く含まれていますので、これらの製品も誤食させないよう注意する必要があります。そして、上記のデータはあくまで参考値であり、製品によっては当然ながらバラつきがあります。ですので、少し食べてしまったけど大丈夫かもは思わず、チョコレートを食べてしまった場合は早期に吐かせる処置を行なう必要があります。つまり、動物病院を受診して下さい。摂取後、早ければ1時間程度で嘔吐などの胃腸障害がでることがあります。因みに、チョコレート中毒の解毒剤はありません。対症療法になります。

結論、チョコレート製品は犬には与えない事。