繁忙期間である4~6月は、健康な個体であれば久しぶりに来院される方が多く来られます。
当院は、かかりつけ獣医の使命として、殆どの個体(触ることすら困難な場合以外)に対して身体検査を実施しております。その中で見つかる異常所見として一番多いのが「歯周病」です。
犬・猫の場合、日常的に歯磨きをされている方以外は、口腔内を見る機会が殆どありません。切歯や犬歯が少し見える程度..
その為、久しぶりに身体検査をすると、年齢にもよりますが大半の個体で歯周病の進行が確認されます。
人でさえ、毎日歯磨きをしていても半年毎の歯科検診にて歯周ポケットの炎症などを指摘されてしまうわけですので、それを行っていない動物ではもっとひどい有様です。
犬が多いので、犬で説明すると歯石が付きやすいポイントがあります。詳細は下の図を確認してください。
一番付きやすいのは、犬歯、上顎第4前臼歯、第1~2後臼歯です。第4前臼歯と第1後臼歯の歯肉部近傍には唾液腺開口部(頬骨腺、耳下腺)があり、もともと歯石が沈着すやすい場所であり、奥まっている場所の為、歯磨きが難しい場所でもあります。
歯石除去前(左)と除去後にポリッシングを施した後(右)の写真です。
写真の加工は一切しておりません。本来の歯の白さです。
見える所の歯石の除去だけであれば、無麻酔下での歯石除去は行なえますが、歯周ポケットに入り込んだ(歯肉縁下)歯石や歯の内側の歯石までは除去することができません。完璧なまでの歯石除去ならびに歯周ケアを行うには痛みを伴ってしまうため、犬猫の場合は全身麻酔下での処置がどうしても必要になってしまいます。
当院で行う歯石除去は、5kg以下であれば麻酔料金+歯石除去+ポリッシングを含めて¥25000(税別)かかります。検査代は別です。
病院によって費用が異なるのは動物病院は人医療とは異なり自由診療であり、かつ病院によって麻酔等の薬剤、使用する機材、技術料等が異なるためです。
因みに、上記の料金は予防歯科の範囲内での処置料であり、1時間前後の麻酔と抜歯処置などの口腔内外科を伴わない場合の金額となります。その為、一番ひどくなりやすい奥歯の状態により処置内容が変化すると料金が変わってしまいます。事前の口腔内検査にてある程度の評価は可能です。
歯周病は進行性の病気(骨の病気)です。人と同じく自宅でのホームケアと病院でのプロケアをうまく使い分けて歯周病予防に努めましょう。
最後に、9月頃に歯科専用レントゲン装置が導入される予定です。