久方ぶりの更新となってしまいました…。

案外、このブログも読まれている方が多いようで、なるべくこまめに更新したいのですが、長文傾向な癖が抜けないため、なかなか内容が出来上がらずに更新できないでおります。

なので、今年からは短期連載みたいな形でやっていきます。前にも似たようなことを書いた気がしますが…

さて、ここ1年の診察の傾向として、歯周病の犬・猫がものすごく増えた気がします。

他の動物病院で指摘されたが、または何もしてくれないが、そこから先、どうすればよいかという具体的な話までは行かないという事で、当院に診てもらいたいというセカンドオピニオンが非常に多いです。

そこで、もう一度、おさらいを含め、歯周病を題材にしたいと思います。

まず、歯周病の分類として、犬・猫では、歯肉炎と歯周炎の大まかに2つに分けられます。

歯肉炎とは、歯肉に限局した炎症のことで、歯周囲の支持基盤である歯槽骨の喪失を伴わない、治療により可逆的に改善が見込める炎症のことです。

そして、歯周炎ですが、歯肉炎と異なり、歯槽骨・セメント質、歯根膜、歯肉における炎症のことで、これらの組織に不可逆可的な喪失を伴う炎症になります。

歯周炎は進行状況により、3段階に区分されます。

軽度歯周炎、中程度歯周炎、重度歯周炎です。ものすごく、わかりやすい分類です…

これらの評価を全体的としてではなく、歯1本1本に対して行うのが正しいやり方なのですが…正直なところ、無麻酔下ですべてを行うことは不可能です。

なので、まずは無麻酔下で視診による外観評価、歯科用ではなく一般的なx線検査で上・下顎骨における歯根部の評価を行います。

DRというシステムに変わってからは、歯科用専用レントゲンではなくてもかなり詳細に評価することが可能になりました。

そして、実際には麻酔下での歯科処置時にプロービンク検査や動揺検査などを行い、細かく評価するということになります。

文章だけだと全く理解が難しいので、歯の実際の見た目と口腔内レントゲンを同時に併せた画像があるので、それで説明します。

Small Animal Clinic No.196 2019 Oct号 P.5より画像引用

アタッチメントロスという単語を解説します。

まず、セメント-エナメル境というところがあり、そこから歯周ポケットの底部までの位置のことをアタッチメントレベルと云います。

そのアタッチメントレベルが根尖側に移動することをアタッチメントロスと表現します。

つまり、歯肉が正常な位置より歯の根っこ側に移動してしまう状態のことです。

次回、ステージ分類における処置・治療に関して解説します。