早いもので今年もあっという間に一年の半分が終わってしまいました...。

まだ本格的な夏を迎えていませんが、もうすでに冬のことを考えてしまっております…。

さて、4月から続いていた繁忙期(狂犬病予防接種やフィラリア予防で動物病院が一年で一番忙しい時期)も6月末をもってやっと一段落しました。

ながらくお知らせ以外の更新をストップしていたブログもなんとか再開できそうです。

7~8月は、平年通りだと繁忙期と比べて時間的ゆとりが大幅に増えるので、この時期にできなかったことを徐々にやっていければと思っております。

さて、当院は、いままで殆どの整形外科症例を二次診療施設(大学病院など)に紹介しておりましたが、なるべく早い段階で一次診療施設でも施術可能なものに限定して、対応できるよう体制を整えていきます。

「えっ!いままで対応できなかったの!?」と、驚かれてしまった方の為に動物病院業界における豆知識を1つ…

整形外科症例(例えば、骨折)は、一般的な病院では年に数件ほどしか遭遇する機会が少なく、その為に対応を行わない・行えない病院が多く存在します。

それは何故かと云うと、整形外科に対応できるようにするには専用のデバイス(機器・装置・道具のこと)が必要であり、全て症例に対応できるようにするとかなりの高額設備投資が必要になります。年に数件来るか来ないかの症例のために高額なデバイスを事前に揃えておくことができないというのが実情です。

勿論、デバイスを選別することによって設備投資額を抑えることはできますし、現実問題として全てを取りそろえておく必要性もありません。全部あるのは専門病院ぐらいなものです。

また、デバイスはあってもそれを使いこなせる技量と知識も当然のことながら必要です。

整形外科は成功・失敗が目に見えて分かってしまう分野なので、適切な処置を施さないと治りません。昔と今とではペットを取り巻く環境が異なり、以前のように失敗も経験のうちなんていうことが当然ながら許されない時代ですので、若手の獣医師には敬遠される分野かもしれません。

いまはどうかは分かりませんが、私が学生時代には骨折と修復についての講義はあっても、実践的なものは学びません。卒後に現場やセミナーなどで実践的な知識を学んだ感じです。その為、勤務先の動物病院で整形外科をやらない場合は、学ぶ機会がなく、疎遠になってしまいます。

その為、大学の整形外科研修医になったり、全国で開催されている実技講習に参加して知識・技術を学び、かつ、独自でデバイスを揃えて自分で手術を行うか、それとも専門医療機関へ丸投げしてしまうかといった二者択一になります。

当院も昨年までは後者の立場でして、症例が少なすぎるために優先すべきデバイスへ設備投資を行っていましたので、整形外科用のデバイスを揃えることができず、対応できませんでした。

ただ、内視鏡もそうなのですが…あれもかなり高額なデバイスで、正直なところほぼ採算は取れません。

しかしながら、デバイスがなければ対応できない検査や処置もたくさんあり、ないことで患者さんに非常にご不便をかけてしまいます。例えば、内視鏡ならばすぐに取れる異物を開腹しなくてはならなかったり、内視鏡でないと調べることができない検査が行えなかったり等…

整形外科に関しても同じことが云えるのかなと、整形外科の実技講習を受けるたびに思うようになってまいりました。一応、将来に備えて整形外科にも対応可能なデバイスを昨年に導入してはいますが、使えるようにするには専用オプションが必要で、それが結構高いので、まだ揃っていません。でも、なければ出来ないので少しずつ必要なデバイスを揃えていきます。

現在、しっかりとした原理原則とドライラボでのトレーニング、実際の手術映像を見ながらのイメージトレーニング、生体組織を使用したウェットラボなどを経て、失敗しないための技術研鑽を日々行っております。その為、実際に対応出来るまでには、もう少しだけ時間がかかりそうです。

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今後も整形外科の実技研修に参加していくため、病院をお休みすることが多々ありますが、ご了承いただければと思います。ちなみに、上の写真は、先月参加した講習会資料の一部です。ドライラボで使用した骨模型もありましたが、その後の練習で使ってぼろぼろになってしまいました…